フットベンチはなぜベッドの足元に置いてある?高級ホテル客室のマットレス横の”台”について深掘り解説
皆さん、高級ホテルに泊まられた際、ベッドの足元に台の様なものが置かれているのを見たことがありませんか?
こんな感じですね↓
これは一体何で、何のために置かれているのでしょうか? 果たしてベッドの一部なのでしょうか?
実は、これは、フットベンチ、あるいはベンチエンド等と呼ばれ、一部の高級ホテルの客室で見られるインテリアのアイテムのひとつです。
本日は、この、フットベンチについて、少しみてみたいと思います。
では、なぜベッドの足元に置かれているのか、その目的・用途からみてみたいと思います。
機能的な面から
フットベンチの用途は実は色々とありますが、たとえば、靴を履き替える際等に、腰掛けるための椅子代わりとして使われたりします。
通常、ベッドの高さは約50センチ程度はありますので、靴を履き替えたりする場合には少し高く、それより一段低いフットベンチなら使い勝手が良いのです。
また、ホテルにチェックインして客室に入った際、手荷物を置く台としても使われます。
あるいは、荷物を整理する際にも、フットベンチの上にスーツケースを置いて作業したりします。
荷物を置く台としては、フットベンチの他にも、折り畳み式のバゲージラックやバゲージベース等もありますが、
手っ取り早くベッドのすぐ傍で荷物を整理するにはフットベンチが便利です。
スーツケースは、長旅の移動で汚れていることが多いですので、なるべく直接ベッドのシーツやベッドカバーの上には置きたくないですよね。
また、フットベンチは、ルームサービスの際など、その上に食事を置いたりという使われ方をする場合もあります。
また、ホテル側からすると、ベッドメイキングの際に、リネン類を一時的に置く台として使われることもあります。
装飾的な備品として
また、見栄えの面からも、ベッドの足元にフットベンチが置いてあることで、客室の雰囲気をより豪華に演出します。
フットベンチは、主に、ホテルの中でも、一部の高級ホテルや、スイートルーム等に置いてあります。あまりビジネスホテル等ではフットベンチは見たことがありませんよね。なぜビジネスホテルにフットベンチが置かれていないのか、その一番の理由は、客室の広さです。
フットベンチは約50センチ程度の幅がありますので、ベッドの長さ約2mにプラスすると、かなりの長さになってしまいます。客室スペースの限られたビジネスホテルでは、フットベンチを置くことは中々難しいでしょう。ビジネス系のホテルでは、荷物台としては、折り畳みバゲージラック等をよく置いたりします。
フットベンチは、ベッドの一部? 家具の一部?
たとえば身長が2m以上ある人や身体の大きなスポーツ選手達にとっては、通常のマットレスの長さ1,960mmでは足りない場合があります。
もしフットベンチがベッドと同じ高さであれば、ベッドの延長部分として、ベッドの一部として捉えることも可能かもしれません。
でも、通常、フットベンチはベッドの高さよりは低くなっています。
また、フットベンチは通常は木製で、多くが布張りの仕様となっています。その木部は、周囲のデスクやチェア、チェスト等の木部と同じ仕様でコーディネートされ、布部分も、周囲の椅子張りやベッドカバー、カーテン等のファブリックを意識したコーディネートとなっています。
このようなことから、フットベンチは、「ベッドの一部」というよりも、「家具の一部」といえます。
実際、ホテルがオープンする際、ベッドを納入するのは、主に我々の様なベッドの専門業者ですが、フットベンチを納入するのは、デスクやチェア等の木製家具を納入する別の家具の業者であることが一般的です。
クッション性などの仕様からみても、フットベンチのクッション性は、マットレスのポケットコイル等のクッション性とは異なり、椅子やソファのクッション性に近いのです。寝るためのベンチではないからですね。
実際に、ベッドの足元に、フットベンチというよりも、まさにソファそのものが置かれている場合もあったりします。
フットベンチを単体で見ると、まさにベンチですね。
ヘッドボードも家具の一部
ちなみに、ホテルのベッドの頭元にある板状の「ヘッドボード」、これも、フットベンチと同様、ホテルでは、「ベッドの一部」というよりも「家具の一部」として捉えられています。
一般の家具店やホームセンター等で売られている市販のベッドでは、ベッド本体にヘッドボードがくっついているケースが多いのですが、
ホテルの客室では、ベッドとヘッドボードは基本的に全く別物です。
「ヘッドボード」については、また別のページも参考にして下さい。
例外的な事例
先日、当サイト「一流ホテルのベッド」で美術協力させて頂いた、某有名俳優さん達が主演の映画があるのですが、この映画の、とある場面では、非日常性を出したいという監督さんの意向から、ベッドの長さを2m50cmにされました。
普段でも、ロングサイズのベッドをお作りすることはあるのですが、
さすがに2m50cmの長さのベッドは難しいため、ベッドの足元に50センチほどの長さの台を作って、その全体の長さ2m50cmに合わせて、特注のデュベやシーツ、ベッドカバー等をお作りしました。
この場合の「足元の台」は「ベッドの一部」ですが、これはあくまで例外的なケースです。
まとめ
如何でしたか?
以上の様なことから、高級ホテルのフットベンチは、客室の周囲の家具や椅子等のデザインに合わせてトータルコーディネートされ、その都度、設計・製造されますので、フットベンチには、さまざまな形状やデザイン・仕様があり、常に、インテリアデザイナーや設計事務所が設計して業者がそれに合わせて製造するという別注品・特注品で、既製品としてのフットベンチは基本的には存在しないということになります。
一部、家具店やホームセンター等で売られているフットベンチは、あくまで、周囲となるべく合わせ易い様に、簡易な仕様・デザインで作られたものです。
フットベンチは、各ホテルの客室デザインやコンセプトによって異なっているのです、さらに言えば、フットベンチは基本的に特注品ですので、○○ホテルに置いてあるフットベンチは、他には存在しない、世界にひとつだけの(○○ホテルだけの)、貴重な備品なのです。
最後までご覧いただき有難うございました。
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