旅館の布団がホテルに似てきた理由とは? なぜ旅館の寝具とホテルのベッドカバーのスタイルは近付いてきた?
最近、旅館に泊まった人や、何かで高級旅館の客室の写真や動画等を見たことのある人は、旅館の客室に対して「モダンな感じ」「ホテルみたい」「以前の旅館のイメージと違う」・・・等と感じたことがある人も多いかと思います。
本日は、旅館の布団がホテルみたいになってきた理由、ホテルのベッドメイキングのスタイルと旅館の布団のスタイルが中々見分けがつかないケースが増えてきた件について、少しみてみたいと思います。
従来の旅館とホテルの寝具のスタイル
もともと、旅館の客室の布団のスタイルというと、こんなイメージですよね↓
畳の上に、敷き布団を敷いて、シーツを掛けて、上掛け布団を掛けて・・・
一方、昔のホテル客室のスタイルは、こんなイメージが結構多かったですね↓
ベッドの上にベッドパッド・シーツでメイクした上に、ボックス型やフリル型の布団兼ベッドカバーを掛けて・・・
でも、最近は、こんな客室があります↓ これって、旅館だと思いますか? ホテルだと思いますか?
上記の写真、ホテルなのか、旅館なのか、パッと見ただけでは、なかなか見分けがつきませんよね。
このように、高級旅館の布団のスタイルと、ホテルのベッドメイキングのスタイルが似てきた理由、なかなか見分けがつかなくなってきたのは何故なのか、それには、いくつかの理由が考えられます。
客室の和モダン化
以前のページでも少し触れさせて頂きましたが、近年、旅館の客室は、和室だけでなく、洋室や和モダンを融合した客室が増えてきています。そのため、それに伴い、布団ではなくベッドやマットレスを導入する旅館も増えています。
たとえば、畳や板張りの床の部屋に、ベッドの上・下セットを置いたり、また、マットレスだけを単体で置いて、その上からベッドメイキングするというスタイルです。
ホテルとしては、逆のパターンで、客室をリニューアルする際、たとえば、床を一段高くした板張りのフローリング仕様等にして、その上に、敢えてベッド下部のボトムは使わず、マットレスだけを置いて設置します。それにより、和モダンな客室が出来上がるのです。
従来の相容れない寝具のメイクスタイル
「寝具」という点から見た場合、従来の旅館の布団は、ベッドやマットレスをメイキングするのには不向きです。マットレスの上から布団がズレ落ちる可能性が高いからです。布団は、あくまで、日本古来の和式の、床に近い低い位置で寝るためのもので、少し高さのあるベッドには不向きなのです。
また、従来のホテルの布団兼ベッドカバーを、旅館の布団に使うことも、仕様的に難しいものがあります。ホテルの布団兼ベッドカバーは、高さのあるベッド向けに作られた仕様だからです。
デュベの台頭
ところが、最近、大手ホテルでは、「デュベ」というスタイルが主流となってきました。
これは、ベッドの下まで達することなく、上のマットレスだけを対象にしたベッドメイキングのスタイルです。
そのため、ベッド全体の高さには影響を受けずに済みます。「デュベ」のスタイルなら、寝る位置の高さは関係ないのです。
それにより、ベッドの上下セットだけでなく、マットレスのみの場合や、お布団だけの場合等にも使用することが可能なのです。
しかも、その上に、帯状の「ベッドスロー」を掛けることで、全体にメリハリをつけたり、客室のコンセプトを表現することも出来るのです。
「ベッドスロー」は、基本的に「デュベ」の左右の横幅と同じ大きさですので、ベッドだけでなく、マットレスのみのスタイルや、布団のスタイルでも使えます。
外国人観光客(インバウンド)の増加
最近は、オーバーツーリズムと言われるほど、日本全国で外国人観光客が増加しています。特に、京都や草津や箱根など・・・有名観光地は、嬉しい悲鳴を上げるほどですよね。
日本を訪れる外国人観光客の中には、日本文化に興味を持つ人も多い一方で、ベッドに慣れている人も少なくありません。そのため、外国人観光客をターゲットとした旅館では、ベッドやマットレスの導入が進んでいます。
あくまで「和」という日本文化を崩さずに、日本文化が味わえるインテリアを残しつつ、外国人観光客にも評価の高い就寝スタイルとして、高級ホテルで採用されている「デュベ」というスタイルに行き着いたというわけです。
布団の上げ下げや収納作業の負担軽減
最近、色々な業界で人手不足が言われています。特に、ホテル・旅館の業界は、その最たるもののひとつです。
これまで、旅館では、客室の清掃や布団の上げ下げ・収納、片付けなどに多くの人手と労力がかかっていました。
そのため、布団というスタイルではなく、ベッドやマットレスにして、デュベというスタイルであれば、布団を敷いたり上げたりする必要がなく、業務の効率化につながるという大きなメリットがあります。
寝心地の点から
当然、「布団」というスタイルと、「ベッド」のスタイルとでは、寝心地が異なります。床の上に布団を敷いただけのスタイルでは、それがたとえどんな高級な仕様の布団であっても、ベッドのクッション性には中々敵いません。
日本人向けだけでなく、上記の外国人観光客を迎えるという意味でも、見た目と合わせてベッドの寝心地が重視される傾向にあります。
まとめ
要は、以下のような旅館で、ベッドやマットレス(+デュベ)の導入が進んでいます。
・「外国人観光客をターゲットとした旅館」
・「客室の和モダン化を進めている旅館」
・「業務の効率化を図りたい旅館」
なお、旅館によっては、ベッドやマットレスの導入を検討しているものの、従来の日本の布団の寝心地や雰囲気を重視する客からのニーズに応えるため、布団とベッドの両方を用意しているところも多くあります。旅館の就寝スタイルは、今後、まだまだ独自の進化を遂げていくことでしょう。
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